雑草というヤツは実によく生えて、たくましく茂る。
裏の斜面のツツジの株の間から盛大に伸びた芒(すすき)を見るたびに、失礼ながらわたしは假屋崎(かりやざき)省吾さんの活け花を思い出す。彼の作品はテレビ番組でしか見たことがないが、たいていメインの花の後ろに丈の高い草や枝がバランスよく添えられて、全体に勢いを与えているではないか。
しかし自然に生える芒の場合、もちろんメインの花の後ろに控えているような慎ましさは欠片(かけら)もなく、自己中心で傍若無人そのもの。
芒は実は萱(かや)と同じもので、昔は屋根を葺(ふ)くのに使われていたくらい、茎が堅くて長い。しかも葉が鋭くて、うっかり触ると手が切れる。そして冬になって葉が枯れても地面の下には根が残り、毎年茂る。
これではツツジが可哀そー。
マメに刈ってやるといいのだが、この斜面の傾斜は45度から70度ほどもあるもので、底の滑らない長靴が必須。虫に刺されたり、櫨(はぜ)の木なんぞの毒にかぶれたり、尖った葉先や枝先に刺されたりして皮膚は傷だらけ、というハメになるのを防ぐには、長袖長パンの野良着を着て軍手とアームカバーまではめる。そして、ツツジの茂みに頭を突っ込んで、萱の根元を探して切っていかなければならない。
少々覚悟の要る作業なのだ。翻訳やいろんな用事をいいわけにして、ついつい1日延ばしになる。今年はそれでも、暇だった4月と6月に2度刈っているから、これでも、去年と比べたら芒の伸び方はマシなんだけど。
さぁ、今のワクチン関連の和訳が終わったら、完全防備の服装に着替えてから鎌を腰に差し、剪定ばさみを胸ポケットに入れて斜面を登り、芒からツツジを救出しに行こう!