Monthly Archives 4月 2019

モレルが生えたよ

イタリア・欧米 料理・食べ物 自然・動物・農業

モレルの和名は網笠茸(アミガサタケ)。中は空で、生だともろいが加熱すると噛みごたえが出る。欧米では食用で、アメリカのミシガン州に住んでいた時には、招かれた友人宅で素揚げをご馳走になった。味はごく淡白。

日本でも春、ウチの裏庭のこの日当たりの悪い場所にだけ生えてくる。亭主殿は場所と時期をよく覚えていて、毎年探す。

今年もちゃんと生えてきた。

初々しくて、可愛いねぇ。

亭主殿は茸大好き人間で、4年半住んだイタリアで唯一買った本が茸の図巻だった。毒茸には赤い✖マーク、美味しい茸にはシェフの帽子マークがそれぞれ1~3個ついていて、さほどイタリア語が読めなくてもその区別だけはカンタン。休日に家族で山や林を散策すると、彼は茸を見つけ次第採ってきては、図巻と比べていたものだ。

当時住んでいたミラノ郊外の一軒家の庭には秋、別の茸がいくつも生えてきた。それを見た彼は図鑑と首っ引きで点検した後で、これは畑シメジで日本にもある、美味しいんだって、とニッコリ笑う。

亭主殿は元々生物系の出身だから鑑別ポイントをよく心得ているとはいえ、毒茸はコワイ。わたしが「あんたにはこれが無毒だという確信が100%あるの? 90%ならわたしはゼッタイ料理しないよ。家族6人が死ぬのはイヤ」と詰め寄ると、「ウン、これは100%大丈夫」と太鼓判を押された。そこで炊き込みご飯にしてみると、実にうまかった記憶がある。

それに比べ、日本の庭のモレルは1、2本しか生えないから、たいてい食べ損ねてしまうのがザンネン。

でも、こんな茸がウチの庭に生えてくるというだけで、楽しいよ。

周りの植生はまるで日本なのだけど、モレルだけを見ていると、心は一瞬、ヨーロッパに飛んでいく。