Monthly Archives 6月 2019

草を刈る

自然・動物・農業

ウチの裏山でも、ここの傾斜が一番急だろう。たぶん60~70度ある。

とても二本足で立ったままでは登れず、四つん這いで登る。 滑り落ちないよう、両膝をついたまま鎌で草を刈る。 この姿勢は足腰に負担がかかり、斜面から降りると膝が笑う(ガクガクする)。笹の茎は硬くて刈るのには力が要るから、鎌を使うのがヘタでひ弱な(?)わたしだと、作業は1時間が限界。汗をぬぐっていると、夫が笑う。

「なに、心配ない、ひと月もすりゃぁまた笹も草も伸びるよ」

いくら草を刈っても、草が伸びるのとイタチごっこなのだ。それでも真夏にはまちがいなく猛々しく茂るから、その前に一度は刈っておかないとコワイ。人間は自分勝手に草木を植えたり切ったりするが、草木は草木自身の勝手、というより自然の論理に従って生えて伸びるものだとつくづく思う。

それでも草刈りという作業はわたしの「破壊衝動」が満たされるらしく、結構楽しい。時おり聞こえる鶯や不如帰(ホトトギス)の声もいい。この時期は新緑が実に美しく、癒し効果もバツグン。わたしは草刈りが好きだ。

 

一息つきながら、ふと、わたしが老いて草刈りができなくなったら、ここがどれだけジャングルになるか、と想像する。

荒れ果てる、と思えば哀しい。

しかし、自然に還(かえ)る、と思えば、それもいいかな、という気がする。

自然の美しさと人工物の美しさを比べると、わたしは自然のほうが好きだ。そして、人生のわずらわしさを思うと、いずれ自分という存在が無くなって自然にのみこまれる、という考えには、いつも救われる感じがある。何かしらホッとして、かすかな微笑が浮かぶのだ。