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猪ハンティング 9 3年目

猪ハンティング 自然・動物・農業

今年も猪(イノシシ)シーズンが始まった。解体用のナイフを買う。カーブした外側にだけ片刃がついている、皮剥(は)ぎ用の牛刀だ。すごくよく切れる。自分用のナイフとわかるよう柄に白いスプレーをかけた。

他の猟師の罠には瓜坊(うりぼう)と呼ばれる仔猪が次々とかかり、計32頭をさばく手伝いに、わたしも2週間で5日行った。

わたしはまだ手順もコツもわかってなくて、解体がてんで下手くそだ。それでもこれだけたて続けに「実習」すると、技術もスピードも格段に進歩する。と、自分で喜んでいても師匠のジンさんはなかなか厳しく、「3回言うても覚えんのじゃけぇのう」だの「ここは皮が残っちょるで。手抜き」だの叱られる。

はがいいから「手抜きってのは意図的でしょ。わたしゃまだ、どの手を抜いたらええかわかるほどの技術力がなぁです。じゃけ手抜きじゃのうて、やり損ね」と子どもみたいに言い返す。とはいえ、内心では「クッソー、今に見ておれ」という気がモリモリとわいてくるから、いい師匠についたものだ。

わたしが今一番習得したいのは胸から腹を割って内臓を出す方法で、3日目には一人で全部きれいにできて大満足だったのだが、4日目にはうまくいかなかった。腹の切り目が途中から中心をそれたのが原因だったとわかって、口をへの字に曲げながら、次からは必ず最後までど真ん中を切るぞと決心する。

今年、わたし自身はまだ猪を捕っていない。「罠の場所が悪いのかな」とジンさんに愚痴ると、即座にピシャリと「そりゃ違う。おまえはまだ、猪のだまし方がわかっちょらん」と言われた。

ムムム、またしても悔しい。足りないのは観察か、推理か、それとも工夫か?