子どものころおできができると、母は庭からドクダミの葉をとってきてあぶり、手でパンパンと叩いた後でおできに貼っていた。ドクダミは「毒消し」だと言って。たまにドクダミ茶も飲まされたが、わたしはあまり好きではなかった。臭いもの。
最近は薬屋さんでドクダミ茶を売っている。「薬効は何ですか」と聞くと「利尿作用です」と言われて眼が点になった。「あのう、毒消しって効果はないんですか?」と重ねて尋ねると、首をひねられた。
あら、そうなの?
毒消しじゃないの?
薬効はともかく、ドクダミは自宅でも実家でも庭によく生える。ほかの雑草と一緒に刈るが、どうせ刈るのなら有効利用しようかという気になった。お茶にするなら、花が咲く時期が一番いいと聞いた覚えがある。
よし、やってみよう。
でもウチのだけじゃちと少ないかな? ドクダミはウチとの境に面したお隣の敷地でもたくさん生えている。隣のケイコさんがドクダミ茶を作ると聞いたことはないから、たぶんわたしが使わせてもらってもかまわないだろう。頼んでみると二つ返事でOKだった。
7月になると白いかわいらしい花が咲き始めた。今だ。
チョイチョイと刈って大きな盥(たらい)で洗い、笊(ざる)にあげて水気を切った後、麻紐で茎を束ねて日陰の軒下に吊るす。隣のまで欲張って刈ったおかげで、結構な量になった。ハンガーに吊るしきれないから、魚や椎茸を干す網かごにも入れる。2週間もすれば良く乾く。チョンチョン切ってできあがり。
15分煎じる。ウン、甘味があって美味い。臭みなんて全然気にならないよ。農家ってホント自給自足に近いねぇ。