義母の実家は小さな寺で、大みそかに行くと誰でも除夜の鐘がつける。結婚してそれを知ったわたしは狂喜乱舞した。
自分で除夜の鐘がつけるなんて!
以来、できる限り毎年行く。子どもや孫、親戚も喜んで行く。
鐘楼の中には小さな箱が2つあり、カラフルなボンボンのような玉が全部で108入っている。鐘を1つついたら、左の箱から右の箱にボンボンを1つ移し、左の箱が空になったらおしまい、というシンプルなシステムだ。
近所の人がぽつぽつ来るが、たまたま誰も並んでいなければ、ひとりで何度でもつける。わたしは当然、2回も3回もついてご機嫌。子どもと同じだね、まったく。
今回、最初に勢いよくついたら、ゴオオーンと頭の中にまで響きわたるほど音が大きい。しまった、力を入れ過ぎた。2回目はそぅーっと叩く。ゴォーーン。よしよし、これくらいがいい。
あたりからは、ほかの寺の鐘も遠く近く聞こえてくる。
本堂に上がって仏さまを拝んでお布施をあげ、暖かい缶コーヒーをもらう。分厚い上着を着てきたのに、外はとても寒い。新年を迎えるという厳かな気分にもなろうというものだ。
今年も良い年でありますように。