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猪ハンティング 15 通路の整備

猪ハンティング 自然・動物・農業

新しく増やした箱罠の1つめは、神社の横をまっすぐ300メートルほど登ったどん詰まりにあり、2つめは、そこから池を隔てた2段の古い湿田の奥にある。湿田には猪の足跡が点々と続いている。

わたしは意気揚々と、九月から毎日元からの罠に加え、2か所の新しい罠にも通って餌の糠(ぬか)を置くが、途中の湿田はじるく(ぬかるみ)、曲がり角ではくるぶしまで長靴がはまる。これでは、猪が捕れても、ジンさんにトップカーで回収に来てもらえまい。

通路を整備しよう。

まず、辺りにたくさん転がっている古い木の枝を拾って敷いてみた。しかし踏むと木はすぐに砕けて地面に沈んでしまい、役に立たない。笹を切って置いても、ラチがあかない。

そこで、家から小型の電動バリカンとチェンソーを持って行き、太い孟宗竹(もうそうちく)を切り倒し、道幅より広い1.5メートル幅に切って並べてみる。亭主殿も手伝ってくれた。丸い竹の上は不安定で少し歩きにくいが、これならトップカーも沈まないだろう。

大量の竹の枝は、これも湿田の入り口付近の通路に敷き詰める。だんだん、そんな「工作」が楽しくなって、我ながら立派な道ができた。

う~ん、いい気持ち。

ところが、シマダさんに来てもらうと、「こねぇな道は猪が嫌うど。竹の上は猪の蹄が滑って歩かれりゃあせん。細い竹は、猪の2つの蹄の間にはさかろう(はさまるだろう)が。これじゃぁ、猪に通るな、と言うちょるようなもんじゃ」と叱られた。

「ほいじゃが、猪が捕れたら、ジンさんにトップカーで来てもらわんと……」とわたしが反論すると、シマダさんは「おまえのう、捕った後のことより、まず猪を捕ることを考えぇや」と一喝。

ぐうの音も出ない。