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猪ハンティング 18 島で解体-3

猪ハンティング 自然・動物・農業

猪の足にワイヤをかけて箱罠から引きずり出した後、軽自動車の後ろにくくりつける。このまま道を引きずって解体場所に向かうのだと、コハミちゃんは言う。「なんか言われん?」とわたしが聞くと、「なんも。ご苦労様、てぐらい」。ド田舎の良さだ。

世話役の男性は「じゃこれで」とさっさと帰った。コハミちゃんは「この島じゃあ、解体の手伝いをしてくれる人がおらんのんよ」と嘆く。確かに、「解体はこらえてくれ」という男性は多い。彼女がわたしを呼ぶわけだ。

猪は重くて、わたしたち2人の力では持ち上げて解体用の台に乗せることはできなかった。「じゃここでやろう」と、あっさりコハミちゃんは言う。「え、道の傍じゃん?」とわたしがためらうと、「誰も気にせんよ。通る車も人もほとんどおらん。地主の許可は得てるし、後で水流すし」との答え。なかなか腹がすわっている。

解体は日没と競争で、最後は車と人のヘッドライト頼りになった。人間なら中年の大猪は、皮どころか横腹の脂肪層まで硬く、まるで鎧(よろい)。コハミちゃんはわたしより力が強かった。頑丈な剪定ばさみで、ガンガン要所要所を切っていく。またもや感心。猪の皮を剥(は)いで腹を空け、胴体と足4本に分けて車に乗せる。家まで帰ったら、庭の流しとその横に分かれ、肉を骨から離していく。「コイツ、玉もでかいわ」と中年女2人は大笑い。

猪は体重の約4割が肉になるというから、計30キロほどか。「山分けにしよう」との提案にのっかり、わたしは15キロをもらった。すごい量だ。

全部で4時間の作業にはかなり疲れたが、女2人で解体をやりきったという達成感と、大量の肉を手にした満足感は、でかかった。