Monthly Archives 3月 2024

2024年3月のしおり 地神祭

各月のしおり 文化・スポーツ

地神祭(ちじんさい)では、2月の立春直後にその土地の神様、つまり氏神に五穀豊穣を祈る。12月に祠(ほこら)で収穫に感謝をささげる「荒神様の申し」とで1セット。この存在はわたしも最近初めて知った。

「え、地鎮祭(じちんさい)じゃないの?」

しかし地鎮祭は、家やビルの建設前に土地の神様に「悪さしないでね、よろしく」と頼むものだから、まったく別物。

ウチの部落では19軒の家が毎年順に地神祭や申しの当番をつとめ、「当家(とうや)」と呼ばれる。古い習慣が残っているのに驚くが、住人は大半が70歳代。10年後には消えさっているだろう。

地神祭の当家が回ってくると、お供えの野菜・鯛・酒を整え、半紙で御幣(ごへい)を作って青竹に挟み、榊(さかき)を飾る。白い瓶や、それを載せる白木の三方(さんぽう)は借りてきた。……読みにくい言葉ばっかりね。

この辺りの氏神は高松八幡宮で、当日は宮司が来て祝詞(のりと)をあげる。宮司さん曰く、「新しく引っ越してきた人の中には、自分は氏子にはなりません、と言う人がいる。しかし、その人が住み始める前から氏神はこの土地にいるのだから、当人がどう考えようとその人は氏子になる」。

ふーむ、日本古来の神道とはそういうものか。

確かに、田舎に住んでいると、自然の営みというものを常に感じる。虫や鳥、動物は山ほどいるし、天候しだいで草木はいくらでも伸びる。その人知を超えた自然を司(つかさど)る「神」というものがこの土地にいる、と聞くと、そうかもしれないなぁと思えてくる。

地神祭が終わると、宮司さんがお祓(はら)いをした御幣を、部落の境の5か所に立てて回る。氏神が守っている結界(?)を示すのだろう。