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自然・動物・農業

2025年2月のしおり 海の漁師と山の猟師

各月のしおり 自然・動物・農業

結婚する前、亭主殿は「釣りさえ好きにさせてくれたら、あとは何も文句は言わない」と言っていた。当時は仕事のストレスが重かったから、のんびり海を前にしているだけでもよかったのだろう。

この年末年始、帰省してきた家族と亭主殿は海に行ってメバルや鰯(イワシ)を釣って帰った。すぐ刺身や塩焼きにすると、鮮度抜群、うまい。

味をしめてその後も、「まどちゃん、夕方満潮になるから、ちょっと行かない? こないだ鰯がめちゃくちゃ釣れたところは、波止(はと)で足場もいいよ」と誘われ、山の猟師のわたしも久しぶりについて行った。

海の中には、銀色にひらめく鰯が見える。「群れが来てるんだよ」と亭主殿。

仕掛けはサビキで、釣り糸の一番下の網かごに撒き餌(まきえ)のオキアミをチューブで入れたら、その上の針には餌をつけずに、ポンと船の横に投げ入れるだけ。超カンタンだ。

竿(さお)を振って海面に針を落とすと、数秒後にはググっと浮きが沈む。竿を上げればちゃんと魚がついている。まさに入れ食い。地球温暖化のあおりをくらい、瀬戸内海は魚、特に鯵(アジ)がめっきり減ったと言われるが、やはり豊穣の海だ。

投げるのが下手なわたしは岸近に針が落ち、獲物は小さい。上手な亭主殿は少しだけ遠くに投げ、大きな鰯を釣る。時には5つの針全部に魚がついている「一荷(いっか)」だ。

1時間足らずで30匹ゲットし、2人とも満足して納竿(のうかん)。夫婦2人のおかずには充分過ぎる。カルパッチョにしたら、お、鰯というのに身が引き締まって、うまいね。

種類はマイワシかと思ったら、顔つきが違う。目がウルウルのウルメイワシだった。めざしの材料だ。次は刺身と一夜干しにしよう。