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自然・動物・農業

2024年2月のしおり 山繭

各月のしおり 自然・動物・農業

繭(まゆ)を作る虫は、蚕(かいこ)だけではない。野生の山繭蛾(ヤママユガ)も繭を作る。蛾は天蚕(てんさん)、繭は山繭(やままゆ)とも呼ばれ、人が育てる蚕の繭より大きい。山繭からとる絹糸は普通の絹糸よりさらに軽く品質は最高級、そして淡緑色で、たいそう美しいらしい。

この繭はわたしが切り落とした樫(かし)の枝の葉っぱにくっついていたのだが、周りを探すとさらに3つ見つかった。こんなにいたのか。

ほかの繭はもっと緑色がかっていて、美しい。

自然からの贈り物だ。

なんだか嬉しくなって、思わずニンマリと笑い、写真をとる。宝物を見つけた気分。自分で刈りこみをしなければわからなかったろうから、労働のオマケ、余得と言うべきか。

道に面した小さな日本庭園の隅には、株立ち(根元から数本に分かれている)の樫の木があり、毎冬わたしが刈りこむ。引っ越してきた頃は要領が悪く10日もかかっていたが、今では脚立を木にくくりつけて安定させることを覚え(隣のタケさんのアドバイスだ)、電気バリカンも使うので、4日でしあがった。

外の道に脚立を立てる時は、さすがに亭主殿の協力をあおぐ。歳をとると筋力もバランス感覚も衰えるから、用心は必須。脚立から落ちるとは珍しいことではなく、一発であの世に行ければいいが、首から下が動かなくなって10年生きるのは耐えがたい。

そういえば、秋には樫の木のてっぺんの葉があちこちで枯れ、もしゃもしゃの塊も見えた。何か虫がついたな、みっともないが、まぁ自然のことだからしょうがない、と思っていた。

そーかぁ、山繭蛾がいたのかぁ。幼虫はでかくて、パッと見は可愛くないんだろうな。でもまぁいいよ、よかったら来年もおいで。