変わったもの、おもしろそうなものに対するアンテナの感度が、わたしはばかに高いらしい。今回、山口市の台湾料理店・富士苑で見つけたのは、「老公餅」(husband cake・夫の菓子)という中国のスイーツ。原材料として小麦粉の次に、なんと冬瓜(とうがん)が入っている。
冬瓜は胡瓜(きゅうり)をすごく太くしたような野菜で、独特の匂いがあり胡麻油とよく合う。しかし90%以上は水分。それを菓子に使うのか?
好奇心のままに買って食べてみると、月餅をパイにしたような感じで気に入ったが、中の餡(あん)に小豆の味はしないし、原材料にも見当たらない。いったいこの餡はどうやって作ったのか?
興味津々(しんしん)、ネットで調べたら老公餅の記載は少なく、代わりに「老婆餅」(wife cake・妻の菓子)が圧倒的にたくさん出ている。老公餅は老婆餅と似ているが甘味が控えめで、わずかな塩気があるらしい。が、それ以上は不明。
どうしても、レシピが気になる!
そこで、いつものように英語で検索してみた。アメリカ在住の中国人のサイトを見ると、「最近売っている老婆餅は、子どものころに食べた味と違う。昔の老婆餅の味を復元しようといろいろ試してみた。糯米(もちごめ)の粉を狐色になるまで乾煎(からい)りし、それに生の冬瓜と砂糖漬けの冬瓜をみじん切りにして水を加えて煮つめたものを混ぜ、餡を作ると成功した」とある。なるほど。
しかしわたしの買った老公餅に糯米は入っていない。原材料からすると、煎った小麦粉に、冬瓜の砂糖漬けとピーナッツを混ぜて餡にしたのではないか。
フーム。
冬瓜にそんな使い道があったのか! そして小麦粉や糯米粉を煎ると、別の風味が生まれるとは。
中華料理の奥は深い。