バルセロナのどこを観光するか探していた時、わたし好みの古くて豪華な教会や城が少ないように思えて、首をひねった。そこで街の歴史を読んでみると、理由がわかったような気がした。
バルセロナは古くはローマ帝国の領土で、その後は西ゴート族に侵入されたり、アラゴン王国を形成したりと、「世界史の教科書で見たことがあるような」名前の大きな勢力に次々と関わっている。多民族のヨーロッパ大陸だけのことはあるわけだ。もちろんアラブ軍にも攻めこまれている。そして最近再燃しているカタルーニャ州独立運動から推測されるように、スペイン中央政府との軋轢(あつれき)も長い。
ムンジュイックという城がある。バルセロナの南西の丘の上に広がる要塞型の城で、堅牢かつ質素。どでかい大砲がいくつか、新しいものも古いものも残っている。これらの大砲は、カタルーニャがスペインに制圧された1714年以来、バルセロナを守るためにではなく、スペイン中央政府側がバルセロナを攻撃するために、繰り返し使われてきたらしい。これでは市街の古い建物が消えた筈だ。1930年代にはスペイン内戦の舞台にもなっている。
なるほど、とわたしは納得した。たび重なる戦乱のおかげで、バルセロナには豪華で洗練された古い建物が少ないのだ、と。
しかし、実際に2日3日とバルセロナを見てまわっていると、どうもこの説はまちがっていることがわかってきた。この街には古くて豪華な建物がちゃんとある。
ただ、わたしが自分の好みにこだわり過ぎていただけなのだ、と。
ともあれ、若いころ無味乾燥でつまらないと信じていた「歴史」は、この歳になってみると実におもしろかった。歳をとるのはいいことだ!
1 Comment
SS
2019年1月13日 at 10:19 AMこのメッセージはあなただけに届くのだろうか、それとも公開されるのかなあ。
とにかく新年おめでとうございます
メール出したのに返事がないのでいぶかしんでいたが、日本脱出していたのですね。
娘にイタリアかスペインの自転車のツアーを誕生日プレゼントするといったのに、返事もくれない。
とにかくお元気で無事のお帰りを待っています。