1月のしおり イタリアの野菜-フィノッキ

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イタリアにフィノッキという野菜がある。

英語名はフェンネル、またはフローレンス・フェンネル。フローレンスとは「フィレンツェの」という意味だ。フィノッキは、スパイスのアニスや中華の八角と同じ仲間で、見た目は青梗菜(チンゲンサイ)の根元をもっと太くしたような感じだが、甘い香りと風味は、日本にない独特のものだ。

口に入れた時のその鮮烈さといったら、最近はやりの葉野菜のパクチーといい勝負。パクチーとは香りも味もまるで違うが、両方とも独特で強烈なところが似ている。だから好き嫌いがハッキリ分かれる。わたしの子どもたちは4人とも、「フィノッキは勘弁してくれ」と言う。わたしも最初に食べた時は「何だ、この臭さは!」と驚いた。が、5回目くらいから病みつきになった。慣れるとハマるところも、パクチーとまったく同じ。

加熱料理にも使われるが、わたしは生で食べるのが一番好きだ。サラダに入れると美味い。ところが、今来ている南イタリアの息子の家では嫁さんが妊娠中で、土壌にいるトキソプラズマという菌が胎児に良くないことから、妊婦は抗体検査で陽性でない限り、生野菜や非加熱チーズを食べるな、と言われている。日本の土にはこの菌がいないらしく、妊婦が生野菜を食べてはいけないなんて聞いたこともなかったが、こちらではあたりまえらしい。妊婦もなかなか不自由だ。ただし重曹を入れた水で洗ったら、生野菜もOK。しかし息子も2人の孫もフィノッキは嫌いなので、なかなか料理に使えない。

そこでわたしは夕飯の用意をしながら、おやつ(?)代わりに1人でフィノッキをかじる。日本の田舎ではまず手に入らない美味が思う存分楽しめて、あー幸せ。

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