4月のしおり 菜花、菜の花、菜っ葉の花

各月のしおり 料理・食べ物 自然・動物・農業

この写真は上の白い花がルッコラ、その右上の黄色い花が白菜、右下がからし菜。下の白い花が大根、その左が蕪。上の細い茎は水菜。

葉っぱは少しずつ違うし、花の色も白と黄色があるけれど、花の形やつきかたはよく似ている。それも道理で、みんな「アブラナ科」。花びらが4枚なので、英語の科名は「十字架型」という意味だ。

この時期、大根や蕪、白菜は中心に太い茎が伸び始める。「董(とう)が立つ」のだ。すると地下でも大根や蕪に硬い芯ができてまずくなる。だから、この言葉は人間にも「最盛期を過ぎた」という意味で使われる。

フツーの百姓はもう、こんなまずい野菜は引っこ抜いてしまって、土に新しく肥料を入れて耕し、夏野菜の種をまいたり、苗を植えたりし始める。だけどウチの畑だけは冬野菜の花盛り。まともな百姓の畑ではない。

だって、花の蕾(つぼみ)がおいしいんだもの。

春先、わたしは畑にある菜っ葉という菜っ葉の蕾を取っては食べる。菜っ葉の花ならどれも「菜花」じゃないかと思う。ルッコラの菜花は少しほろ苦くて癖があるから、一番好き。大人の味だ。

からし菜は茨城にいた頃、近所のバッチャンが小貝川の河原に生えていると教えてくれた。熱湯に一瞬だけつけてから出して冷やし、密封しておくと強烈な辛みが立ってくる。ウチの亭主殿の大好物だ。

大根の菜花はちょっと癖が強過ぎて扱いが難しいが、白菜や水菜、蕪の菜花は少し甘味があって癖がない。みそ汁、おひたし、サラダ、炒め物、と何にでも使う。あんまり頻繁に食卓に出すもので、家族は「またか」という顔をする。だけど、この時期しか食べられないなら、食べなくちゃもったいないじゃないの。

これこそ春の味!

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