今年はなんと7組の燕(ツバメ)のカップルがわが家に巣をこしらえた。この巣にはなぜか、羽飾りまでついている。
この辺りで長屋(ながや)と呼ばれるウチの倉庫では、続く通路を入れると昼間は3ヵ所の戸が開けっ放しなので、鳥は出入り自由。
隣のケイさんの倉庫の軒にもよくツバメが巣をかけるが、雛(ひな)が大きくなると決まって蛇がスルスルと上ってきて、親鳥が騒ぐのも何のその、雛を全部食べてしまうのが可哀そうでたまらない、と彼女は眉をしかめる。
そんな屋外の軒下に比べ、屋内はまちがいなく安全。ツバメもそこはよく心得ていると見える。
それでも天井から下がる蛍光灯の上に巣をかけられると、正直嬉しくない。壁の配線器具の上もイヤ。親鳥は何か土台が下にあると便利、と選んだのだろうが、人間はチト不安になる。糞を盛大に落とされるのも迷惑。
しかし、ツバメの姿はほっそりと華奢(きゃしゃ)で、飛び回るときも颯爽(さっそう)としている。太宰治の「斜陽」の冒頭でも、元華族の母親が優雅にスプーンを使う様子が、ツバメの動きにたとえられているくらい。
おまけに、卵がかえって雛がピーチクパーチク鳴き始めると、その声がとっても生き生きして愛らしく、聞こえるたびになんだか嬉しくなる。
餌をくわえた親ツバメが来ると、雛が一斉に鳴きたてて黄色い嘴(くちばし)を目いっぱい開け、餌をねだる姿も微笑ましい。雛鳥の嘴が黄色いのは、薄暗いところでも親鳥からよく見えて確実に餌をもらうためらしい。口の中までまっ黄っ黄。
いいよ、いいよ、糞害なんてほんの一時。ツバメさん、ウチで安全に育って元気に羽ばたいて行ってね。わたしは元気をもらってる。
2 Comments
NK
2019年8月2日 at 3:40 AMツバメの巣が7つなんて、うらやましいです。私の家には1つしかありません。
SS
2019年8月25日 at 10:07 AMツバメが今でもいて巣を作るのですね。
私も子供のころはよく見ていましたが、成人してからは、とんとみなくなり、ご近所にも着た様子がないので、もう日本にはいなくなったのかと思っていたくらいです。優雅に飛ぶ姿も、最近ちっともお目にかかりません