リーンリーンと秋の虫が鳴いている。
わたしは緑茶が好きだ。
おいしい緑茶を飲むと、その一口ごとに思わず「あぁおいしい」とつぶやいて、ホッコリする。
人生の楽しみのなかでも、好きな食べ物や飲み物を味わう楽しみは日常的で、しかも満足感が高く深いように思う。イヤ、単にわたしの食い意地がはっているだけか?
コーヒー並みに濃い緑茶がわたしの好み。とはいっても渋かったり苦すぎたりするのはキライ。だから必ず、ぬるめの湯を使う。ガラスポットの目盛りを見て、井戸水と熱湯を同じ量注ぐと、井戸水の20℃と熱湯の100℃を足して2で割った60℃になる。おいしい煎茶を入れるための理想の温度だ。それが簡単にできる。
ちなみに英語には、お茶やコーヒーを「入れる」という意味で brew (ブルー)という語がある。ビールを醸造する意味でも使われる語で、充分に味を引き出すというニュアンスがあるらしい。
そう、おいしい緑茶を飲もうと思ったら、お湯を入れてからしっかり待たないと、「あの」おいしさが出てこない。最低3分待ってから、「最後の一滴」までしつこくカップにそそぐと、「あら、お茶ってこんなに美味しかったの?」というほどの味になる。
わたしは面倒がって一度に大量のお茶を入れる。だからしばらく待って、1回だけスプーンでポットの底から上まで混ぜる。ただしお茶の専門家に言わせると、混ぜるのは邪道らしい。雑味が出るそうな。わたしはいろいろ試してみて、1回混ぜるだけなら雑味もうま味の範囲ではないか、という結論に達した。
今年は残暑がきついから、いまだに冷やした緑茶を一日中飲んでいる。
あぁ、お茶っておいしいねぇ。
幸せ。
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