紫蘇(シソ)の実が丸々と熟れてきた。
中を除くと、小さな茶色い種が4つひしめくように入っている。この種が太ってこないと、噛んだ時に歯と歯の間でプチッとはじけて風味が広がらないから、熟れるのを待っていたのだ。
2週間前には台風17号が潮風を運んできたもので、紫蘇の木(?)がずいぶん倒れたり、葉っぱが茶色に枯れたりしてしまった。今年は実が採れないかと心配していたら、しっかり数本残っていて、ちゃんと実をつけてくれた。
思わずニンマリとする。
とはいえ、柄のついた篭(かご)を下げて、茎を一本いっぽんこさいで(こすって)実を採って回るのも、けっこう時間のかかる作業だ。9月だったら20日ほど英訳が続いて畑に来る余裕もあまりなかったから、暇な今でちょうどいい。
ちょうど隣の畑にはタケさんがいた。
「こんにちは」と声をかけてきたから、「紫蘇の実を採りよるんよ」と答える。
「へぇ、あんたはマメじゃの。そげな(そんな)ことするんか」
「塩漬けにしておいちょくそ(おいておくの)。来年の夏胡瓜(きゅうり)の酢の物に混ぜるとおいしいじゃ。じきに使えるけど、今からは涼しゅうなってくるけぇ、それより暑い時に食べる方がサッパリしてええよね」
「ウチはの、この2列にニンジンの種をまいて10センチほど芽が伸びたと思うたら、台風の潮風でみんな枯れてしもうた」とタケさんが嘆く。
「あらま、みな枯れたん?」
「あぁ、全滅じゃ。かなわんのう」
お喋りしていると、篭がいっぱいになった。家に入って丁寧に葉っぱや茎を除き、洗ってからたっぷり塩を混ぜて ジッパー付きの袋に詰めこむ。 量は最初の数分の一に減った。
亭主殿はお茶漬けに入れるとうまい、と喜んでいる。
2 Comments
miyuki
2019年11月5日 at 9:52 AM句集の編集中で1年前を思い出し、このページを訪れました。
紫蘇の実ってそうやって保存すればいいのか・・・と、夏にいやというほど畑に自生していたのを思い出し採りに行ったが大方枯れて茶色になっていた。かろうじて一本青いのが残っていたのでがしがし収穫して洗ってジップロックに入れ取り敢えず塩をまぶしておいた。
読んだのが遅くて10月末だった。惜しい。
このページいいレシピになります。
ここ数年畑仕事に費やす時間が増えています。ただ土に触れるのが楽しいので去年の秋は目的もなく麦を蒔いて今年の春は青麦を眺めて喜んでいた。3メートルほどの一畝だったけど菓子箱一つぐらい収穫できた。無目的なのでそのままにしているが、まどかさんなら粉にしてパンにするんだろうなあと思って、粉に仕方を考えているところです。
そういえば昔家に石臼があったなとかコーヒーミルでええかとか。
SS
2019年11月13日 at 1:48 AMまあ、久しぶりにのぞいてみたら。
なんとたくさんのトピックがあっておどろいた。
どれも実に観察細やかで、実利的で、本当に感心する。
なんと才能のある人だろう!!
このサイトはそのうちすごくもてはやされることになるだろう。