家畜用のサプリメントの文書を英訳した。
英訳の仕事は和訳より嬉しい。が、しばらくぶりで歯がゆいほど作業が遅い。英語の長編小説を最近2冊読んだから英語に慣れているといえ、小説の文体と技術文書の文体はかなり違う。それに畜産用語の調査が要る。
わたしは3つの言語が使えるトリリンガルだが、日本語に比べて英語とイタリア語の能力はどうしても落ちる。英語を習い始めたのは中学からだし、イタリア語は39歳からだ。アメリカに住んだといってもたった1年、イタリアが4年半。
先日、わたしの詩の英語版をチェックしてくれたアメリカ人女性と話をした。女性は夫と来日して一男一女を産んで育てた。子どもたちは高校まで山口の公立学校に通ったから、日本語の読み書きもできる完全なバイリンガル。娘の方はその後も日本で結婚・出産して30代まで暮らし、日本語はまさにフツーの日本人並み。
その娘が最近アメリカに引っ越し、働き出した。日本人顧客からの電話に対応する部署で、もう1人日系アメリカ人男性がいるが、彼はアメリカ育ちなので日本語は完全でない。
すると、彼が変な日本語をしゃべっても苦情は来ないが、彼女が少しでも変な日本語を使うとキツイ苦情が来るのだと言う。顧客は彼女が日本人だと信じてしまい、おかしな日本語が許せないのだ。
わたしはそれを聞いて、とても羨ましかった。外国語で仕事をするという点では一緒だが、わたしと彼女とではレベルが違う。彼女のような人なら、日本語のニュアンスをくみ取りつつ、アメリカ人の生活実感にふさわしい英語に訳せるだろう。わたしには無理。
しかし他人を羨んでもしかたがない。「置かれた場所で咲きなさい」だ。
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