1月のしおり 猪ハンティング 3 餌の食いっぷり

猪ハンティング 自然・動物・農業

毎日餌を置く際に、前日置いた餌の跡を観察し、どんな生き物が食べたのか推測する。

箒(ほうき)で掃いた後のように米ぬかがキレ~イになくなっている時は、たぶん図体の大きい猪が食べた跡。泥まで一緒に食べているわけで、人間からすると顔をしかめるが、猪が土を掘って筍や草の根、幼虫を食べていることを考えると、少々の泥は気にしないのだろう。一方、ぬかの山が半分しかなくなっていない時は、別の小さい動物が食べているんだと思う。

柿を鋭角に突っついた跡があるなら、くちばしのある烏(からす)なんかの鳥が食べたってこと。

栗は「猪なら器用に皮を剥(む)いて食べる」と聞いている。足の蹄(ひづめ)と歯を使うのか、栗がなくなって皮の半分くらいがそのままが残っている時は猪だと喜ぶのだが、めしゃげた栗が残っていると、食べたのは猪ではなく狸か穴熊かと、わたしの口はへの字になる。

烏につつかれるのを防ぐために、実際には色鮮やかな柿の上に落ち葉をかぶせる。甘柿がなくなっても、もいでおいた渋柿が柔らかく熟れてくると使う。

この柿が、毎回必ずなくなるのだ。熟柿は匂いが強い。動物を引き寄せる効果が強いんだと思う。それにかなり甘い。どうも野生動物だって甘い味が好きらしい。人間と同じなのか、と笑えてくる。まぁ生理学的に言うならば、糖分の高い食物は高エネルギー源だから、人間を含めた動物は生き延びるために積極的にとる、という嗜好習慣が発達するらしい。

ついでに周囲を観察する。

低いトンネルのような空間が何カ所か笹の間に続いているのは、たぶん獣道だろう。わたしに見えない夜の間に、そこを猪や穴熊がのそのそと歩いているのを想像すると、なかなか楽しい。

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