ケン・フォレットの「大聖堂」と「火の柱」

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ケン・フォレットという作家を最初に知ったのはテレビでだった。「大聖堂」という連続ドラマで、見たのはほんの30分ほどだったが、ひどくそそられた。探してみると The Pillars of The Earth という原題の英語の小説が手に入った。

こんなおもしろい小説は久しぶり。

舞台は12世紀のイギリスで、大聖堂の建設がメインテーマ。知恵と馬力のある善人と悪人との対比がうまい。「運命の人」に出会った男女の長いラブストーリーも魅力的。しかしわたしが一番ヘェーと思ったのは下世話にも中世前期の生活かもしれない。

女も男も、貴族でさえ下着のパンツをはいていなかった、ということを聞いてはいたが、ホントにそーだったんだ~。

貧しい農民や職人は文字どおり着の身着のままで過ごし、寝間着にも着替えない。召使は大ホールの床で男も女も雑魚寝(ざこね)で、セックスもそこでしている。現代では考えられない。

この小説に味をしめ、同じ作者の A Column of Fire(火の柱)を買った。

今度は16世紀のイギリスとフランスが主な舞台で、ラブロマンスをからめ、登場人物は宮廷貴族からスパイ、商人や船乗り、果てはアフリカ人奴隷まで実に多彩。背景は宗教戦争。

わたしはこれまで、当時の信仰がこれほど深く、カトリックの聖職者の横暴と堕落がこれほどひどいとは実感したことがなかった。肩と股関節を脱臼するまでの拷問には胸が悪くなる。

そして、教会の聖職者のみがラテン語の聖書を扱い、庶民の信者は自分たちが読める英語やフランス語の聖書を正規に入手できず、聖書の語句の解釈も許されなかったことには、正直怒りを覚えた。プロテスタンティズムが起こったのは当然の流れだ。

ヨーロッパの歴史を知ると、ヨーロッパが一層好きになる。

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