犬の老化

自然・動物・農業

18歳の洋犬雑種の吉(きち)がめっきり老いてきた。

まず1年半前、急に歩けなくなった。顔がいつも右に傾いている。前庭(ぜんてい)失調で原因は老化だと獣医に言われた。前庭は耳の奥のバランス器官で、不調になるとめまいがしてフラフラするらしい。

この子は犬小屋が大嫌いで、真冬でもコンクリートの上に直に寝る。毛が密で長いから暖いとはいえ、歳をとっては寒さがこたえるだろう。マットを二重にひいてやる。

この時は幸い完治したが、この冬、少しぶり返してしまった。吉はヨタヨタと歩き、時々こける。気がつくと、以前の冬ほど毛が伸びていない。雄のジョンは白髪になったが、雌の吉は薄毛になったのだ。ウチの旦那は白髪でわたしは薄毛だから、なぜか飼い主と同じ。

別の問題もあった。

吉は2年前の夏からゼイゼイと息をしながら歩く。気管支か心臓かが悪いらしい。秋になると良くなってホッとしたが、次の夏にはまた息が荒くなった。そしてこの春はゼイゼイハァハァがひどくなる一方で、歩かせるのが可哀そうになる。

しかし、散歩を早めに切り上げようとわたしが向きを変えると、吉は2本の前足を地面に踏ん張って抵抗するのだ。

あんたはもっと歩きたいのね!

そりゃ人間だって家の中にお籠(こも)りはイヤだものねぇ。外の風に吹かれて、新緑の中を歩くのは気が晴れる。他の犬の臭いを嗅ぐのも犬には大事な習慣。ハイハイ、あんたに合わせてゆっくりたっぷり歩きましょ。

父の最晩年を思い出す。父は痩せて筋肉が減り、歩くのがとても遅くなった。でも外出は好きだった。わたしが父に合わせて行動するには忍耐も要ったが、それでよかったのだと思う。人間も犬も老化と介護については同じらしい。

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