犬19歳の大往生

自然・動物・農業

柴犬雑種のジョンは、去年の11月に後ろ足が立たなくなった。回復しても後ろ足の筋肉がめっきり痩せ、片足を上げてオシッコしたり、以前ほど速足で長距離を歩いたりはもう無理だった。

わたしはジョンとの散歩が少しつまらなくなったが、歳をとって弱った愛犬につきあってゆっくり歩いてやるのは飼い主の義務だろう。最晩年の父を思い出した。父はフレイル(虚弱)で、太ももはわたしの二の腕ほどに痩せ細っていた。歩くのがひどく遅くなり、わたしは深呼吸を一つして心のギアを切り替えてから、前かがみの父と一緒にゆっくりゆっくり歩いたものだ。

自宅のリフォーム中わたしの実家に引っ越すと、ジョンの元気がいっそうなくなった。夏の暑い時期はなおさらで、夕方の散歩は夜涼しくなってからにする。ジョンは家を出る時は元気がいいが、100メートルも進むと頭を垂れてとぼとぼと歩くようになり、そのうち10歩歩いては止まって一休み。犬の19歳は人間の100歳くらいだからしょうがない。

それでもコイツは脱走するのだ。

夕方姿が見えずあわてて旦那と探していたら、「迷子の犬を保護しています」というアナウンスが聞こえ、飛んで行くと警察のお世話になっていた。三つ子の魂百まで、とはこのことだ。リフォームが終わった自宅に戻ってからも、油断すれば外の道に出ている。

10月4日、ジョンは朝ふだんどおりに散歩して餌を食べ、昼には息絶えていた。ピンピンコロリの大往生で、それはそれでいいことなのだろう。「今までご苦労様」と、2年前に先立った相棒の吉の傍に埋めてやる。

わたし一人で散歩に出る。さっさと大股で歩けるのはいいのだが、「この道を何百回ジョンと歩いただろう?」と思うと、涙がポロリ。

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