深夜の高速道で狸(タヌキ)をひいてしまった。
トンネルの手前で、山から下りてきたらしいタヌキはそのまま自然体でトコトコと道を横切るものだから、避けようがなかった。「おまえねぇ、道を渡る前には右と左をよく見る、って習わなかったかい?」と説教したかったが、もう遅い。
かなりの衝撃があった。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
しばらくして高速道を出て一般道を走っていると、スピード計の横に警告灯が黄色くついてピーピー鳴り始めた。
何だこりゃ!?
車を停めて取説を見る。「オーバーヒートです。ボンネットを開けてエンジンを冷やしてください。もう走ってはいけません」
ウッソー。
15分ほどボンネットを開けた後、恐るおそる走りだす。少ししてまた警告灯がついたから車を停めてエンジンを冷やす。ボンネットを閉める際に、地面に水たまりがあるのに気がついた。さてはエンジンの冷却水を入れるラジエーターを、あのタヌキが壊したか!!!
どうにか家まで帰って翌日車を修理に出すと、バンパーとラジエーター、その周辺だけでなく、エンジンもいかれていると宣告されてしまった。
ゲゲッ。
「この車を廃車にして新車に乗り換える人もいますが、エンジンを交換する手もありますよ」と整備士さんが言う。「廃車のエンジンを整備して出す市場があるんです。交換は保険でできます」 なるほど、エンジンは車の心臓だが、部品の1つでもある。来年と再来年の保険金は高くなるが、同じ車に乗り続ける方が安い。そうしよう。
タヌキのおかげでとんだ災難だった。しかしタヌキは命を失ったがわたし自身は無事だったことを思えば、わたしの災難よりタヌキの災難の方が大きかったか。
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