藤沢周平の時代小説を読み返していたら、「青苧(あおそ)」という植物の名前が出てきた。彼の出身地でよく小説の舞台に据える山形県の産物として、藩が生産を奨励していたとある。
「何だこれは?」と思いスマホで検索してみた。こういう時、ウィキペディアは実に便利だ。信頼できそうな情報が一まとめになっていて、仕事でもよく使う。
正式名は「カラムシ」。紵(お)、苧麻(ちょま)、真麻(まお)などの別名も多く、日本では古くから茎の皮を糸にして布を織っていたらしい。ということは、歴史の本に出てくるような弥生人・縄文人の貫頭衣も、この青苧製の可能性があるということだ。
俄然、心が古代に飛んでいく。
近現代では、高級織物の小千谷縮(おぢやちぢみ)の材料として使われている。アラ、布になる天然素材って、綿と麻だけじゃなかったのね、ちっとも知らなかったわ。
さらに、栽培種は海外でラミーと呼ばれる、と読んで思い出した。若いころ買って気に入っていた夏用カーディガンの素材が ramie だった。おやま、自分も着ていたのね、縄文人と同じ素材のものを。ヘエェ。
で、写真をよくよく眺め、葉の裏は白い、という記載を読んでいると、「んん?」とひっかかった。どうも見たことがある、というか、ウチの家の裏や田んぼ道の傍でしょっちゅう見ているような気がするのだ。
植物に詳しい亭主殿に聞いてみると、案の定、そうだと言う。「小さい棘(とげ)がたくさんあるからイラクサとも言うよ。茎が硬くてよく伸びて、すぐはびこる。厄介な雑草だ。ま、大雑把に言えば麻の一種だよ」
なるほど~。
最近で一番の発見だった。
世の中には知らないことがいくらでもあるから、おもしろい。
1 Comment
Y.M.
2021年6月7日 at 9:01 PM青苧の話 以前読んだのに 記憶になくて 読みながら 「アッ そうそう苧麻 とかカラムシ って言うのだった。」と少しづつ思い出しました。裏が白くて 「あの葉っぱね。」とまどかさんにも 教えてもらったのを思い出し、2度目??の学習で やっと腑に落ちました。
小千谷チジミの夏着物は持っているのですが 麻だとばかり思ってました。
目から鱗・・・ さらっとしていて 凄く気持ちいいです。