2021年1月のしおり 馬の鞍

各月のしおり

亭主殿の祖父は道楽者で、馬を飼っていたらしい。農耕用ではなく乗馬用のアラブ種で、祖父と父は馬と一緒に貨物列車に乗ってあちこちの競馬に行き、小倉競馬で3等だったという。

競馬だけでなく、親子は趣味としてふだんから馬に乗っていたという話だ。この義父の中学時代の同級生が高校に入ってわたしの実父と同級になるという縁があり、数十年たった後でわたしの結婚相手のことを聞いた。「なにや、おまえの娘があそこの嫁になったんと? ワシャあいつの家に行って馬に乗せてもらうんが楽しみでのう。今でもよう覚えちょるわ」と笑った。

うらやましい。

わたしも乗馬が好きなのだ。でも観光地で何度か経験した程度。夫の学会出張にくっついてハンガリーに行った時には、鞍(くら)なしの裸馬に乗った。馬はわたしよりずっと背が高く体重は数百キロ。背中は意外に広くて、人間はしっかり足を開かないとまたがれない。そんな大きな生き物に乗って、自分の身体で「馬」を感じながら揺られているのはなかなか楽しい。

イタリアにいる頃は郊外の道を馬に乗って行く人を時々見かけた。乗馬服にブーツで背筋をピンと伸ばしている姿が、実にカッコよかったなぁ。息子がサッカーしに行っていたスポーツクラブにも厩(うまや)があって、イタリアで乗馬は趣味として定着していた。

だから、わたしも山口で乗馬クラブに通ってみようかと思ったのだ。でも日本で初心者は馬場の中を回るだけで、よほど上級者になって北海道なんぞに行かなければ、ポッカポッカと自然の野山を歩くわけにはいかないらしい。ウ~ン、残念。

蔵から出てきた鞍は、磨いて玄関の土間にでも飾るつもり。ちょいとインパクトがあるでしょ。

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